昨日言ってたショートストーリー(前編)
王都プロンテラにて。
「ああ~ 10年ぶりに復帰したはいいけど、装備の種類が増えすぎててわからない~!」
「なんだよ、この潜在解放とか潜在覚醒ってエンチャント!
意味わかんねーーー!!!」
頭を抱え、悩める冒険者達。
そこへ、
スチャッ
「お困りのようね、冒険者さん」
大きなロリポップを背中に挿した不知火が、中腰片膝立ちで片手を地面に、もう片手を水平に伸ばして颯爽と現れた。
「だ、誰だ…?」
「問われて名乗るは烏滸がましいから… 通りすがりの美少女ニンジャと言っておくわ。
装備やエンチャントでお困りのようね?」
そういうと自称美少女ニンジャは胸元からタブレットを取り出した。
「そんな時にはこの『エンチャント逆引きツール』がおススメよ!」
呆気に取られている冒険者たちに、自称美少女(略)は手早くタブレットを操作し始めた。
昨日言ってたショートストーリー(後編)
「これを使えばどんな装備にどんなエンチャントが付くかだけでなく、
逆にどんなエンチャントが欲しいならどんな装備があるかまでわかる優れもの!
アプリじゃないからページにアクセスすれば利用可能よ!」
いそいそとタブレットを取り出し、ページにアクセスする冒険者たち。
「すごい… 今は俺の職にはこんな装備があるのか! しかも操作がわかりやすい」
「さらに公式の取引履歴までリンクしてる!! すごい、すごいよお嬢ちゃん、これ! …あれ?」
彼らがタブレットから目を離したときにはすでに自称美少女(略)は姿を消していた。
「彼女は一体なんだったんだ…?」
「ページにプロフィールが書かれてるけど、この人だったのかな?」
「…おい、他にもツールがあるみたいだぞ」
こうしてディープな冒険者への道が拓かれるのであった…
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